おはようございます。
Takatoraです。
かなり前に記事にしましたが、私日商簿記1級の合格に向けて勉強をしております。
過去記事はこちら↓
今回は社債(抽選償還)の決算整理を勉強しました!
社債とは
社債とは会社が資金を調達する方法の一つとして発行する「債券」です。
私を含め若い世代には馴染みがないかもしれません。
抽選償還とは
抽選償還は債券の途中償還方法のひとつです。
債権者平等の原則を基本に、債券所有者の意思に関係なく、抽選により一定期間ごとに一定額ずつ償還する方法です。
また、社債を売ろうとすると「額面金額100円につき96円など安い金額で発行(発売)」することがよくあります。
つまり100円の社債を96円で売るのです。
この額面金額よりも低い発行金額で発行することを、割引発行といいます。
実際の試験問題
実際の簿記1級の問題ではこのように出題されました。
『4月1日の期首日(会計期間の最初の日)に、額面総額4,000千円の社債(期間5年、クーポン利子率年3.0%、利払日毎年9月・3月の各末日)を額面@100円につき93.35円の割引発行によって買いました。
この社債には、決算日ごとに800千円ずつ抽選償還を行う条件があります。
なお、発行価額と額面金額の差額はすべて金利調整差額と認められます。
また、社債は償却原価法(利息法)により評価しており、実効利子率は年5.51%とします。
当期末の利払・抽選償還を行なったがその会計処理はまだ行われていない。』
専門用語連発で難しいので、まずは分からない文言を一つずつ説明します。
クーポン利子率とは、利払日に受け取ることができる額面上の社債利息の利子率。
今回のケースなら、額面総額4,000千円なので、4,000千円×3.0%×6ヶ月/12ヶ月=60千円です。
抽選償還とは、社債の発行後、抽選により一定期間ごとに一定額ずつ償還する方法です。
満期まで保有出来ずに所有者の意思とは無関係に償還されます。
金利調整差額とは、社債の利子率を市場金利よりも安く設定する場合、社債を購入する人が不利にならないように、発行価額を額面金額より安く設定したものの差額です。
今回の場合は額面金額4,000千円−発行価額3,734千円(93.35円×400)=266千円
償却原価法とは、償還期に至るまで、金利調整差額を会計年度ごとに解消するための処理です。
この処理によって、発行価額を額面金額に近づけます。
償却原価法の利息法とは、社債のクーポン利子額(今回は120千円)と金利調整差額(今回は266千円)との合計額が社債の帳簿価額に対し一定率(実効利子率)となるように、複利をもって会計年度ごとの損益に配分する方法です。
会計年度ごとの損益に配分された配分額とクーポン利子率との差額(=帳簿価額×実効利子率−債権額×クーポン利子率)を帳簿価額に修正します。
今回の場合、4,000千円×3.0%×6月/12月−3,734千円×5.51%×6月/12月=103千円(四捨五入)です。
実効利子率とは、その名のとおり実質的な利率のことです。
つまり今回の社債を買うと、クーポン利息の「半年60千円」と金利調整差額「266千円」儲かります。
実効利子率とは、この両方を勘案した利率になるのです。
つまり社債とは?
社債の販売はただの有価証券販売ではなかったのです。
「社債を売る=お金を貸す」ことなんです。
つまり、社債を3,734千円で売ったということは、購入者に対して3,734千円お金を借りたということなのです。
理解しながら解いてみた
「社債を売る=お金を借りる」なら、利息を払わなければいけません。
では早速、社債を販売した会計年度の実質的な利息を計算します。
3,734千円(発行価額)×5.51%(実効利子率)×6月/12月=103千円
しかし、103千円のうち、すぐに支払う金額は60千円です。
(=4,000千円(額面金額)3.0%(クーポン利息)×6月/12月)
だから、自分に差額の40千円を借りたのと実質同じということなのです。
つまり9月30日(半期末)には、合計すると3,777千円相手から借りたことになるのです。(=3,734千円+43千円)
これを仕訳するとこうなります↓
同様に当期末も同じです。
半期末に比べて、半期末にもらわなかった利息分だけ借入額が増えているので注意が必要です。
4,000千円×3.0%×6月/12月=60千円
3,777千円×5.51%×6月/12月=104千円(四捨五入)
104−60=44千円
これにより、社債金額は3,821千円になります。(=3,777千円+44千円)
加えて、抽選償還である800千円が取り崩されます。
その結果3,021千円になります。(=3,821千円−800千円)
その仕訳はこちら↓
ここでもう一度、実効利子率について説明します。
実効利子率とは、すぐに受け取る単利(クーポン利息)と、すぐには受け取らない複利(額面価額−取得価額)の両方を考慮した利子率です。
以上になります。
利息法は簿記2級では出題されない1級ならではの論点です。
本番で出題されても臆せず解けるよう勉強していきます!
〈参考にさせていただいたブログ〉