こんにちは!
Takatoraです。
今回の「 Takatoraの戦術書を読む 」は、コトラーのマーケティング4.0です。
コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則
- 作者: フィリップ・コトラー,ヘルマワン・カルタジャヤ,イワン・セティアワン,恩藏直人,藤井清美
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2017/08/21
- メディア: 単行本
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「コトラー?マーケティング?今は公務員試験の勉強をしてるの。小難しい話はよしてくれ」
はいはい、そんな声が聞こえてきそうです。
でもこの本、受験時には主に教養論文や面接(集団討論含む)、晴れて公務員になった後も役立たせることのできるバイブルになり得ます!
ちなみに教養論文一般に関してはこちらをご覧ください↓
まず、コトラーのマーケティングを読んだことのない人へ1.0から3.0までのマーケティングの変遷を見ていきましょう。
マーケティング1.0は「作ったものを販売促進して売ろう(生産者志向)」
マーケティング2.0は「顧客の欲しいものを作って売ろう(消費者志向)」
マーケティング3.0は「顧客の欲しいものかつ、精神も満たされるものを作って売ろう(人間中心のマーケティング)」
1.0とかの数値はバージョンのようなもので、どんどんバージョンアップしているんだという理解でいいと思います。
じゃあ「マーケティング4.0」 ってなにさ?
4.0っていうんだから、3.0から全く新しいバージョンになるの?
いえ、誤解を恐れずいうとマーケティング4.0は3.0を補いながら、もっと自然に広めていくためにはどのようにすればよいか書かれています。
簡単に言えば、顧客の自己実現の促進支援するようなものを作ること。
それを現代のデジタル技術によってどう創造していくかを教えてくれます。
みなさん、マーケティングってどんなことを目的においていると思いますか?
「モノがたくさん売れること?」「企業が豊かに経営すること?」
このコトラーのマーケティング4.0での目的は、
「顧客を推奨者にすること」と書かれています。
しかしつい最近まで、古くは顧客の購入までの道筋はAIDMと言われてきました。
注目(attention)、興味(interest)、欲求(desire)、行動(action)です。
その後、何度か修正され、認知(awareness)、態度(attitude)、行動(act)、再行動(act again)になっています。
このフレームワークについて、コトラーはこう言ってます。
4Aフレームワークは、顧客が検討対象のブランドを評価するときに経る、漏斗(じょうご)のような直線的なプロセスを表す単純なモデルである。
顧客はブランドのことを知り(認知)、当該ブランドを好き、もしくは嫌いになり(態度)、それを買うかどうかを決め(行動)、当該ブランドにリピート購入する価値があるかどうかを判定する(再行動)。
現在の環境を踏まえてコトラーは下記のように修正されるべきであると言っています。
それは認知(aware)、訴求(appeal)、調査(ask)、行動(act)、推奨(advocate)です。
いわゆる5A。
認知のときの顧客の行動は、過去の経験やマーケティング・コミュニケーション、それに他者の推奨から、受動的にたくさんのブランドを知らされます。
考えられる顧客タッチポイントは、
「他社からブランドのことを聞かされる。たまたまブランドの広告に触れる。過去の経験を思い出す。」
顧客の主な感想は「知っている」程度。
訴求のときの顧客の行動は、自分が聞かされたメッセージを処理し、短期記憶をつくったり、長期記憶を増幅したりする、少数のブランドだけに引きつけられる。
考えられる顧客とのタッチポイントは、
「ブランドに引きつけられる、検討対象にする少数のブランドを選ぶ。」
顧客の主な感想は「大好きだ」くらい。
調査のときの顧客の行動は、好奇心に駆られて積極的に調査し、友人や家族から、またメディアから、さらにはブランドから直接、追加情報を得ようとする。
考えられる顧客タッチポイントは、
「友人に電話をしてアドバイスを求める。オンラインで製品レビューを検索する。価格を比較する。」
顧客の主な感想は「よいと確信している」ほど。
行動のときの顧客の行動は、追加情報によって感動を強化された顧客は、特定のブランドを購入する。
そして、購入・使用・サービスのプロセスを通じてより深く交流する。
考えられる顧客タッチポイントは、「店舗かオンラインで購入する。その製品を初めて使う。
問題について苦情を言う。
「サービスを受ける。顧客の主な感想は「購入するつもりだ」まで。そしてついに推奨のときの顧客の行動は、時とともに顧客は当該ブランドに対する強いロイヤルティを育む。それは顧客維持、再購入、そして最終的には他者への推奨に現れる。」
考えられる顧客タッチポイントは、
「そのブランドを使い続ける。そのブランドを再購入する。そのブランドを他者に推奨する。」
顧客の主な感想は「推奨するつもりだ」までになる。
この5Aは必ず直線的に進むわけではなく、時にはらせん状になることさえあります。
マーケティング4.0の究極の目標は、顧客を認知から推奨に進ませることである。
そのあと、コトラーは忠実な推奨者を増やす方法として以下の点を挙げています。
①認知率をあげること
②PAR(=購買行動をとる人の数/認知している人の数。企業が自社を認知している人々を購買行動に「コンバート」することにどれくらい成功しているか)とBAR(=自発的に推奨する人の数。
企業が自社を認知している人々を忠実な推奨者に「コンバート」することにどれくらい成功しているか)のスコアを引き上げること。
そして②について、5Aを経る間に起こりうるボトルネック解消のために以下の解決策を提示しています。
①誘引力を高める
ほとんどの顧客がブランドをよく知っているのに魅力的だとは思っていない場合、当該ブランドには誘引力の問題がある。
②好奇心を最適化する
マーケティングでは、顧客に魅力的な知識を適量与えることによって好奇心を生み出す。
つまり、好奇心を生み出すためには、コンテンツ・マーケティングと呼ばれるアプローチ、すなわち、顧客の生活に関係があり、しかも特定のブランドと強く結びついているコンテンツを作成、配信する一連の活動が必要なのだ。
③コミットメントを強化する
顧客のコミットメントを強化するためには、タッチポイントに関係なく、顧客にオンラインとオフラインを統合した経験を提供するオムニチャネル・マーケティングが必要である。
これには物理的店舗、ウェブサイト、モバイルアプリ、コールセンター、もしくはほかのチャネルにおける顧客の経験が含まれる。
最も重要なのは、顧客の周りにいくつものタッチポイントをつくるだけでなく、顧客が一つのチャネルから別のチャネルに移るときシームレスな経験を提供することだ。
④親近感を高める
購入後経験を高めるために、マーケターはタッチポイントを拡充し、顧客と通常の交流を超えた交流ができるようにするとよい。
実際の製品から得られる喜びや実際のサービス経験に加えて、顧客エンゲージメント・プログラムの導入も考えられる。
つらつらと書きましたが、これって自治体経営も一緒だと思いませんか?
最終的にその住民に「ここの市区町村(都道府県)はいいよ。おススメだよ!」って言わせるような推奨者にするのが目的ですよね。
またそれにプラスして、、特に限界集落なんかは今住んでいる高齢の住民と新住民をつなぐ役割を自治体が積極的に関与すべきだと思います。
ところでみなさんは、将来公務員になった後葉、その自治体の住民に直接影響を及ぼすような政策を検討する機会に遭遇します。
ほとんどの場合、皆さんにとっての顧客は「今住んでいる住民」です。
例えば人口増加政策。
誰のために、その自治体の人口を増やしたいと考えていますか?なぜ人口を増やさなければならないのですか?
人口を増やすことで、そこに住んでいる住民が幸せになると考えていますか?
インフラを整えて、移住者を呼びかけ住まわせることが、すでに住んでいる住民の幸せにつながりますか?
教養論文や面接、そして公務員になって政策を検討するとき、上記の例のような事案に実際直面します。
その時きっと、コトラーのマーケティングは参考になります。ぜひ勉強の合間に読んでください。
※読み込み不足感があるので、この記事は随時更新します!
コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則
- 作者: フィリップ・コトラー,ヘルマワン・カルタジャヤ,イワン・セティアワン,恩藏直人,藤井清美
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2017/08/21
- メディア: 単行本
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<参考文献>
フィリップコトラー 『コトラーのマーケティング4.0スマートフォン時代の究極法則』東京:(株)朝日新聞出版、2017年